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ご自身やパートナーのためにも性感染症チェックを



性感染症の早期発見と治療は、重症化や感染拡大を防ぐためには欠かせません。多くの性感染症は自覚症状がほとんどなく、パートナーに感染させる危険性もあります。性感染症は誰にでもかかる可能性がある病気です。無症状のまま進行した場合、不妊や母子感染のリスクが高まります。


ここでは、性感染症の症状やチェック方法についてわかりやすく説明します。大切な人がいる方は、ご自身やパートナーのために、ぜひ性感染症チェックしましょう。


性感染症とは 

性感染症(STI)とは、性的接触を通じて感染する病気のことです。代表的なものには、クラミジア、ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、淋病などがあります。これらの感染症は、性器や口、肛門などの粘膜や皮膚を通じて感染します。


性感染症は、かゆみや痛みなどの症状を引き起こすだけではなく、治療しなかった場合、不妊や神経、心臓などに影響を及ぼす可能性があります。また、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)など他の感染症にかかりやすくなることもあります。


性感染症は、症状が軽い場合や無症状の場合もあり、気づかないうちにパートナーに感染させてしまうことがあります。若い女性が性感染症にかかった場合には、母子感染(母親から赤ちゃんへの感染)を引き起こし、赤ちゃんに先天性の障害が残る可能性があるため、注意が必要です。少しでも不安を感じたら、早めに検査を受けることが大切です。


性感染症の症状 

性器にかゆみ、水疱やイボの出現、頻尿などの症状が見られた場合には注意しましょう。排尿時の痛み、膿のような分泌物、腫れなどの症状がある場合も、性感染症の症状のひとつです。


  • ・性器周辺に痛みやかゆみ
  • ・排尿時に痛みや違和感がある
  • ・性器から膿が出た
  • ・性器や口の周りに水ぶくれやただれができた
  • ・性器周辺から異臭がする
  • ・性器に腫れ
  • ・身体にかゆみや痛みのある赤い点や斑点、円形のアザが現れる
  • ・皮膚にブツブツや湿疹ができる
  • ・喉に痛みや腫れがある
  • ・性器や肛門付近にイボができた
  • ・熱が突然出たり、熱が続いている

ただし、性感染症は、感染していても症状が出るとは限りません。また、症状がなくても進行していく性感染症もあります。


◎性感染症のチェック方法 

性感染症をチェックする方法として、以下の検査が行われます。


  • ・血液検査
  • ・尿検査
  • ・分泌物検査
  • ・皮膚検査
  • ・喉の検査

健康診断や人間ドックでは性病の検査は行われません。性病の有無を確認するためには、専門の診療科を受診しましょう。


◎血液検査

健康診断と同じように、血液を採取し調べる方法です。血液検査で分かる性感染症は以下になります。


  • ・梅毒
  • ・エイズ
  • ・性器ヘルペス
  • ・B型肝炎
  • ・C型肝炎

◎尿検査

尿検査は、尿の成分を調べることで健康状態や病気の兆候を確認するための検査です。性病の検査を行う際には、最初に出る尿(初尿)を採取してください。


初尿には尿道の分泌物や細胞が多く含まれており、これが性病の検査に適しています。一般的な健康診断で使用される中間尿よりも、初尿の方が性病の検出に有効です。正確な検査を行うためには、検査の1時間以上まえから排尿を控えておきましょう。


尿検査で分かる性感染症は以下のとおりです。


  • ・淋菌(りんきん)
  • ・クラミジア
  • ・マイコプラズマ
  • ・ウレアプラズマ
  • ・トリコモナス
  • ・カンジダ

◎分泌物検査

女性の場合、子宮の入り口にある頸管もしくは膣分泌液を綿棒等で軽くぬぐって採取した分泌液を検査します。頸管は膣の奥に位置しており、性病の病原菌がここに感染することがあるため、正確な診断にはこの部分の検査が必要です。生理中は正しい結果を得られない可能性があるため、避けてください。


性器検査から分かる性感染症は以下になります。


  • ・淋菌
  • ・クラミジア
  • ・マイコプラズマ
  • ・ウレアプラズマ
  • ・トリコモナス
  • ・カンジダ

◎皮膚検査

皮膚検査は、症状が出ている部位(例えば陰部や肛門部)を綿棒で軽くこすって組織を採取します。柔らかい綿棒を使うので、痛みを感じることはほとんどありません。検査方法には、病原体特有のタンパク質を調べる抗原検査、病原体の遺伝子を調べるDNA検査、病原体そのものの有無を確認する塗沫検査、そして病原体を培養して調べる方法などがあります。


皮膚検査で分かる性感染症は以下のとおりです。


  • ・性器ヘルペス
  • ・尖圭コンジローマ
  • ・トリコモナス
  • ・カンジダ

◎喉の検査

生理食塩水で10〜20秒のガラガラうがいを行い、その液で検査を行います。正確な検査結果を得るために、検査1時間前から、飲食(ガム・飴含む)、うがい、歯磨きを控えましょう。即日検査の場合、のどの粘膜を綿棒等でぬぐう検査を行うこともあります。

喉の検査で分かる性感染症は以下のとおりです。


  • ・淋菌
  • ・クラミジア
  • ・マイコプラズマ
  • ・ウレアプラズマ

ブライダルチェックとは 

ブライダルチェックとは、結婚や妊活を考えているカップルが、性感染症や不妊症のリスクを事前に確認するための検査です。


◎ブライダルチェックの目的

ブライダルチェックは結婚・妊活をきっかけに受けるものとは限りません。結婚の予定やパートナーの有無に関係なく、誰でも受けられます。ブライダルチェックは、パートナーを守りたいと考えている方におすすめの方法です。


性感染症は長期間続いたり、再発したりするため、過去に性感染症にかかったことがある方は調べておきましょう。


◎ブライダルチェックを受けるタイミング

ブライダルチェックといっても結婚後に受けても構いません。現在、または将来妊娠したいと考えた場合、検査を受けてください。また、今はパートナーがいなくても、将来子どもがほしいと考えている場合、1度は受けておきましょう。


まとめ

性感染症は誰もがかかる可能性がある病気です。不安を感じたら早めに検査を受けましょう。性感染症の早期発見と治療は、重症化や感染拡大を防ぐために重要です。また、コンドームを必ず使用するなど、「うつらない」対策も忘れないでください。


当クリニックでは、かゆみや痛みなどの症状を総合的に診断し、HIV、B型肝炎、C型肝炎、精子チェックを含む男性向けのブライダルチェックも提供しています。お気軽にご相談ください。


いとう腎・泌尿器科クリニック
医師
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