むくみとは、皮下に余分な水分が溜まった状態のことです。生活習慣や身体のコンディションに左右されやすく、寝不足や飲酒後、慣れない立ち仕事の後など、多くの方が経験したことがあるかもしれません。
ただし、中には簡単に取れないむくみも存在します。こういった頑固なむくみは、見過ごせない健康問題のサインかもしれません。
特に腎臓が悪くなった場合、むくみの一因となることがあるため、その兆候を早期に発見することが重要です。今回は、むくみが出る原因と考えられる腎臓の病気について紹介します。むくみが気になる場合は自己判断せず、一度ご相談ください。
目次
むくみとは
むくみは浮腫(ふしゅ)ともいいます。
これは、皮下に余分な水分がたまっている状態のことです。身近に起こる症状で、寝不足やお酒を飲んだ翌朝、立ち仕事をした日の夕方などにむくみを感じたことがある方も多いかもしれません。
むくみの原因はいろいろありますが、ほとんどは一時的なものです。時間が経つと自然に消えていきます。ただし、しつこく続くむくみは、体内で何らかの異常が起きているサインかもしれません。
むくみが出やすい部位としては、脚、手、顔などです。片側だけにむくみが現れる場合、またはむくみが続く場合は注意しましょう。
むくみが起こる原因
むくみの原因は全身性の原因と局所的な原因があります。
全身的な原因
-
・心不全や腎不全
-
・低栄養
-
・薬の副作用
局所的な原因
-
・下肢静脈瘤
-
・深部静脈血栓症
-
・リンパ浮腫
-
・蜂窩織炎(ほうかしきえん)
-
・皮膚の病気
むくみが出る腎臓の病気
腎臓は老廃物の排出だけでなく、体内の水分量や電解質(塩分やカリウムなど)の調整も行っている臓器です。腎臓病になるとこれらの調整がうまくできなくなるため、体内に水分が溜まってむくみが生じます。
この場合、足や顔が特にむくみやすく、左右対称に現れ、下肢のむくみは足の甲が腫れて靴がきつくなったり、指で押すと跡が残ることもあります。
顔のむくみは朝目覚めたときに目立ち、まぶたが腫れぼったくなることが特徴です。
その他にも、腰や背中、陰部がむくむ場合があります。さらに体液が過剰になると、胸水や腹水が現れ、呼吸困難や腹部の張りを引き起こすかもしれません。
-
・腎炎
-
・ネフローゼ症候群
-
・多発性のう胞腎
-
・腎不全
むくみが起こる代表的な腎臓の病気には、腎炎やネフローゼ症候、腎不全があります。
腎炎
腎炎とは糸球体腎炎ともいい、腎臓に起こった炎症のことです。これには急性と慢性の2つのタイプがあります。
腎臓が炎症を起こすため、尿を作る能力が低下します。主な症状はむくみや高血圧、排尿時の痛み、頻尿や血尿、発熱、腰や背中の痛みなどです。
原因は、細菌が腎臓に侵入して起こります。もしも細菌が全身に広がってしまった場合、危険な状態になることもあります。
一方、慢性腎炎は症状が軽く、自覚しにくいことが特徴です。軽度の腰痛や発熱が見られることがありますが、進行すると腎不全や高血圧といった深刻な問題になることもあります。
ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群は、体に必要なタンパク質が尿に流れ出てしまう病気です。これにより、血液中のタンパク質が減ってしまい、その結果、体がむくんだり、お腹や肺、心臓などに水がたまることがあります。
むくみの原因は、タンパク質が減ることで体内の水分バランスが崩れ、血管の外に水分と塩分が増えることです。また、血中のコレステロールも増加することがあります。ネフローゼ症候群は、腎臓の機能低下や血栓症(血管が詰まること)、感染症を引き起こす危険性もあります。
多発性のう胞腎
多発性のう胞腎は、腎臓に水の入った袋(のう胞)がたくさんできる病気です。遺伝によって引き起こされます。
初期の段階では特に症状が出ないことが一般的です。時間が経つにつれ、腎臓が大きくなり、お腹が張ってくることがあり、嚢胞に感染することもあります。また、腎臓だけでなく肝臓にも嚢胞ができる場合があり、これもお腹の張りを引き起こす原因です。
自覚症状としては、血尿、側腹部や背中の痛み、疲れやすさ、腹部の腫れ、発熱、むくみ、頭痛、吐き気、腹部の張りなどが挙げられます。
腎不全
腎臓が血液をろ過する糸球体が詰まることで、腎臓の機能が低下し、老廃物を排泄できなくなる状態が腎不全です。腎臓の働きが正常の30%以下に低下すると、慢性腎不全になり機能が回復しません。
腎臓がうまく働かないと、体内に老廃物や酸がたまり、尿毒症と呼ばれる症状が出ることがあります。さらに、進行すると体内に水分がたまり、心不全や電解質の異常により生命に危険が及ぶこともあるため、注意が必要です。
また、貧血が起こったり、血圧が上がったり、カルシウムが減少して骨が脆くなったりします。
腎臓病セルフチェック
以下のチェックリストは当院で使用しているチェックリストです。
-
・指輪や靴がきつくなった、むくみを感じる。
-
・高血圧、糖尿病、脂質異常症を指摘されている。
-
・顔色が悪いと言われることがある。
-
・健康診断の尿検査で尿たんぱく、尿潜血などの異常を指摘されたことがある。
-
・疲れやすい、息切れがする、疲れが抜けない。
このチェックリストは、早期発見と予防を目的としています。腎臓病は、初期には自覚症状がほとんどないため、気づきにくいことがほとんどです。
たとえば、むくみや高血圧などの症状は、腎臓の働きに問題があるサインかもしれません。早期に問題を発見し対処することで、慢性腎臓病や腎不全といった深刻な状態を防げるのです。
まとめ
むくみの原因はさまざまです。その原因の一つには、腎臓の病気が考えられます。むくみが気になる場合は、まずはご相談ください。また、セルフチェックリストを使うことで、日常的な体の変化や異常を早期にキャッチできます。ぜひ、参考にしてください。