女性は生理学的に尿道が短く、妊娠・出産を経験することで膀胱炎や頻尿、尿漏れなどのリスクが高まります。
これらの症状は年齢とともに増加し、更年期に入るとさらに頻繁に現れることがあります。女性であれば誰しもが経験してもおかしくありません。
この記事では、女性に多い泌尿器のトラブルについて詳しくご紹介します。
女性泌尿器の特徴
女性は男性と比べて尿道が短いため、細菌が尿道から膀胱に入りやすく、膀胱炎を引き起こしやすい傾向にあります。
また、女性は妊娠や出産を経験することで、骨盤底の筋肉が緩みやすくなることが特徴です。これが原因で尿失禁(尿漏れ)や、骨盤内の臓器が下がってしまう骨盤臓器脱(性器脱)などの問題が生じることがあります。
膀胱炎 の症状
女性が膀胱炎になりやすいのは、尿道が短いことが理由です。また、免疫力が低下した場合にかかりやすくなり、尿意を我慢するとそのリスクはさらに高まります。
過度に洗浄することで再発を繰り返すこともあるため注意しましょう。
症状は、排尿の最後にしみるような強い痛みが生じることが特徴的です。また、頻尿や排尿時の違和感、残尿感、血尿などの症状も見られることがあります。
膀胱炎が悪化すると腎臓にまで感染が広がる可能性があるため、症状が治まった後も自己判断せず、医師が治癒を確認するまで治療を続けましょう。
尿もれ(尿失禁)の症状
尿失禁は、自分の意思に反して尿が漏れてしまう状態を指します。
特に40歳以上の女性のうち、実に4割以上が経験するとされているほど一般的な問題です。しかし、多くの方が恥ずかしさのために我慢していることが多いのです。
失禁の一つである腹圧性尿失禁は、立ち上がったり重い荷物を持ち上げたり、咳やくしゃみをした時に、お腹に力が入ることで尿が漏れてしまう状態です。
女性の骨盤の中には膀胱や尿道、子宮、直腸などの臓器があり、骨盤底筋という筋肉や靭帯の束によって支えられています。
しかし、この骨盤底筋が出産や加齢、女性ホルモンの低下などの影響で緩んでしまうと、膀胱や尿道が不安定になり、尿道がきちんと閉じなくなります。結果として、尿が漏れる状態が発生するのです。
過活動膀胱の症状
トイレが近くなる、急に強い尿意を感じる、そしてその結果、時には漏れてしまうという症状が特徴です。
これらのどれか一つでも当てはまれば、過活動膀胱の可能性があります。日常生活に影響を及ぼすこともあるため、症状が気になる場合は医師に相談することが大切です。年齢とともにその割合は増えていくこともわかっています。
過活動膀胱の背後には、膀胱炎や結石、がんなどの他の病気が潜んでいることがあります。症状が続く場合や悪化する場合は、早めに医師に相談しましょう。
臓器脱の症状
骨盤臓器脱は、子宮や膀胱、直腸などの骨盤内の臓器が膣のほうに下がってくる病気です。
出てくる臓器で最も多いのは膀胱で、次いで直腸、子宮の順番です。これは、子宮が膀胱の上に位置していることが理由になります。
いったん下がってしまった臓器は自然に元に戻りません。徐々に悪化していき、最終的には治療が必要です。
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・お風呂に入った時に膣からピンポン球のようなものに触れる・出てくる
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・立ち仕事の際に何かぬるっとしたものを感じる
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・股間に何か挟まっている感じがする
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・いすに座った時に何かが押し込まれる感覚がある
こういった症状が特徴です。
膀胱が下がることで頻尿や排尿困難、尿失禁が生じたり、直腸が下がることで便秘が悪化したりすることもあります。
症状が進行すると、膣壁が下着に擦れて出血したり、歩行が困難になるなど、日常生活に支障をきたします。
まとめ
女性は、月経、妊娠、出産、閉経などのライフステージを経ることによって、泌尿器系のトラブルを経験しやすい傾向があります。
特に膀胱炎や尿漏れ、頻尿、排尿痛などの症状が見られることが多く、時にはかゆみや発熱、血尿といった深刻な状態に発展することもあります。これらの症状は、恥ずかしさもあり、「年齢のせい」としてあきらめてしまうかもしれません。
ただし、泌尿器疾患が関係している可能性もあり、放置すると腎臓に悪影響を及ぼすことがあります。症状を感じたら、まずは気軽にご相談ください。