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症状が出る前に!やっておきたいがん検診


前立腺がんは男性に多く見られるがんで、発症数が増えています。ただし、早期に発見し、適切な治療を受ければ完治が見込めます。


そのため、定期的ながん検診を受けることが重要です。今回は、前立腺がんの症状が出る前にやっておきたい検査について、わかりやすく説明します。


前立腺がんとは

前立腺は、栗の実のような形をしている、男性だけにある小さな臓器です。尿道を囲んでいる場所にあり、膀胱のすぐ下に位置します。ここで作られる液は精液の一部となるのですが、そこに含まれるタンパク質(PSA)が、血液にも少しだけ入ります。


前立腺がんは、前立腺の細胞が異常に増え始めることで発生するがんです。初期の段階では症状がほとんどありません。


ただし、尿が出にくくなる、排尿の回数が増えるなどの症状が出ることもあります。進行すると、血尿や腰の痛みなども現れます。この症状はがんが骨に転移した場合に見られる症状です。


前立腺がんは比較的ゆっくり進行することが多いので、早期発見して治療を始めることで治癒が期待できます。


がん検診とは

「健康診断」は、特定の病気を絞らず、身体に異常がないかどうかを調べます。これに対し、がん検診は特定の病気(がん)を対象とした検査です。


がん検診の流れは次のようになります。


まず、一次検診でスクリーニングを行い、健康な人とがんの可能性がある人をふるい分けます。検診内容はがんの部位によって異なり、胃がん検診ではX線検査や内視鏡検査、乳がん検診ではマンモグラフィーなどが用いられます。


精密検査でがんと診断された場合は、次に治療に進むことになります。ただし、がん検診や健康診断は、無症状の人を対象としているため、自覚症状がある場合はまず医療機関を受診してください。


前立腺がん検査


検査は段階的に行われ、疑いが強い場合にはさらに詳しい検査を実施して診断を確定します。


  1. ・PSA検査

  2. ・直腸診

  3. ・画像検査

  4. ・前立腺生検


PSA検査

最初に行うのは、血液を調べる検査で、前立腺で作られるPSAの量を調べます。


通常は少量ですが、がんや炎症があると血液中に増えることがあります。ただし、値が高くても必ずしも前立腺がんではありません。


前立腺肥大症や前立腺炎など、がん以外の病気でも値は上がることがあります。また、数値が正常であってもがんが見つかることがあります。


直腸診

これは医師が肛門から指を挿入して前立腺の状態を確認する方法です。もし表面がでこぼこしていたり、左右対称でなかったりした場合、それが前立腺がんの可能性があります。


画像検査

がんの広がりや転移の有無を調べます。MRI検査は、磁石の力を利用して体の中を詳しく調べる検査です。がんがあるかどうか、またその場所や広がり具合を確認するために行います。


CT検査では、リンパ節や他の臓器へのがんの転移を確認するために行います。骨シンチグラフィは、放射線を出す薬を使って骨にがんが存在するかどうかを調べる検査です。薬が骨に集まる様子を画像で見ることで、骨への転移を確認します。


前立腺生検

診断確定のために行われる検査です。この検査では、肛門から超音波装置を挿入し、画像を見ながら細い針を使って前立腺の組織を複数箇所から採取します。採取した組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を確認します。


生検でがんが発見されなかった場合でも、終わりではありません。PSA検査を定期的に行い、結果によっては再度行うことがあります。


まとめ

前立腺がんは早期発見が重要です。50歳を超えたら定期的にPSA検査を受け、異常があればさらに詳しい検査を受けるようにしましょう。PSA検査は健康診断や人間ドックのオプションや市区町村によってはがん検診で受けられることがあります。


いとう腎・泌尿器科クリニック
医師
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